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    聞く力



    先日特別支援学校の先生のお話しを聞くチャンスが有りました。発達障害、特にAD/HD(注意欠陥多動性障害)の子供についてのお話です。げん在小学生では6.5%約67万人の児童がこのAD/HDであるとのことです。

    このAD/HD(注意欠陥多動性障害)はその名前から「注意ができない子供達」と思われがちですが、むしろ注意がいろいろな方向に向いていて「多注意」になっていることが多く、それに加えて「多動性」と「衝動性」が有るとのことです。
    発達障害は脳の発達プロセスで、何らかの医学的原因で起きる「脳の機能障害」であり、母親の育て方が悪いから・・・などということではありません。AD/HDの子供達に大切なことは、早期発見(10歳までに周りの大人が把握する)をし、早期対応をすることだそうです。

    発達障害を研究では「学ぶ力」を 1.聞く力 2.話す力 3.読む力 4.書く力 5.計算する力 6.推論する力
    の6つに分けているそうです。AD/HDの子供達はこの中の「聞く力」が欠如していることが多いそうです。「聞く力」とは「聴覚的短期記憶」で、耳から聞いたことを記憶する能力で、「記憶」とは脳の機能で生まれつきの特性だそうです。

    耳から聞いたことを記憶すると言っても何時間も記憶すると言うのではなく、ほんの1秒脳にとどまっているかどうかが大切なのだそうです。特別支援学級で「次は体育だからみんな着替えて校庭に出るように」と言っても2~3人は教室の隅でごそごそしている・・・これは先生に反抗して出ないのではなく、「教室を出る」ように言われたことを記憶できていないのだそうです。このような子供達には視覚的な支援「見せる事」が有効で、先の体育の場合も「着替えて校庭」など文字にして見せてあげると良いとのことです。

    ダルクローズは「聞く力」のトレーニングをしています。そのうえ、「聞いたことに対して反応する・・・即時反応」のトレーニングも毎回積み重ねます。子供達の豊かな発達のために、やはりダルクローズは欠かせないトレーニングなのだと、お話しを伺いながら改めて思いました。
     
    「ダルクローズの力」をもっと世の中の人々に知らしめて行かなければと、改めて思いました。





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    Kちゃんのスキップ



    Kちゃんは年中さん、まん丸お顔の小さな男の子です。
    とても小さいのにいつもにこにこ、「おれは男だ!男は強いんだぞ!」なんて大えばりしています。

    Kちゃんはまだスキップができません。レッスン中にスキップが始まると、とたんにフリーズして動かなくなり、スキップが終わるまで身体を固くしています。先週のレッスンの時、一人お休みで、2人だけのレッスンでしたので、チャンス!と思い、Kちゃんのスキップの練習を少し入れてみました。

    まずKちゃんに「ケンケンできる?」と尋ねてみました。するといつものにこにこ顔でケンケンをして見せてくれました。
    「そんなに長くケンケンしなくても良いのよ。ケンケンて2回飛んだら次は反対の足でケンケンて2回、2回ずつで足を取換えながらケンケンしてみよう!!」

    Kちゃんの手を持って右足ケンケン、左足ケンケン・・・。
    「さあ、これでKちゃんのスキップの準備はできました。」と宣言してから、もう一度、スキップ用の即興を始めると、完全な形ではありませんが、Kちゃんが嬉しそうにスキップを始めました。いつもの何倍もの笑顔ではねています。
     
    このスキップの練習法は、盲目の辻井伸行君達に付属高校のリトミックの授業でスキップを体験させるときに考え出したものです。スキップを見たことのない伸行君達に、言葉でスキップの動きを伝えなくてはならず、スキップって一体何をやっているのかしらと分析しました。
    まずケンケン(同じ足で2回ジャンプ)それができたら、ケーンケンとリズムを変えるとスキップになります。伸行君達は曲がりなりにもスキップを体験できました。
     
    ダルクローズは体験した事を分析し、物事を根本から捉えます。根本を明確にしきちんと体験し直すことで、積み重ねられ身に付いて行くのです。
     
    Kちゃんスキップできて良かったね。 たくさんスキップの気持ちよさを味わってね。





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    切り替える力



    12月に指揮の野口先生から、「大学院生でリズムの取れない子がいるんだけど何とかならないかな?」と相談を受けました。大学院生で、リズムが取れない??訳がわからず良くお話しを伺うと、マレーシアからの留学生で大学院の作曲に在籍している学生で、指揮のレッスンをしたところ、テンポも一定には保てず、当然リズムも取れないとのことです。一度レッスンを見せて頂かないと何もお話しできないので、レッスンを見せて頂くことにしました。

    早速次のレッスンに伺うと、2台の指揮伴ピアニストの前で一生懸命指揮棒を振っているのですが、見た瞬間に身体が固く、特に上腕と指揮棒を握る親指がとても固いのが見て取れました。腕の中でも特に上腕は力が入ると身体全体の自由が利かなくなります。親指に力が入ると指全体の自由が利かなくなります。指や身体がコントロールできないと、当然自分で感じた事を身体に伝えられず「表現」して人に伝える事はできません。

    「リトミックで何とかならないかな」とのご相談を受け、来年度の「リトミック」の授業の聴講をしてもらう、それまでは時間が合わせられるときに(昼休みなど)少しずつ一緒に過ごし、何が原因か何をしたらよいか等をチェックすることにしました。

    ピアノに合わせてビートをたたいてもらうと、ちゃんと一緒にたたけます。途中でピアノをなくしてもビートのキープはできています。今度は2分割をたたいてもらいました。初めから2分割をたたいてもらうとちゃんとできましたので、次に合図でビートと2分割をたたきわけてもらいました。すると少し不安な要素が感じられました。

    3分割をたたくと、始め等分にはたたけず、何回かしてから3分割になりました。この後合図でビート・2分割・3分割のたたきわけにすると、もう全てが乱れてきてしまいました。

    結局彼女は「切り替え」が苦手だということがわかりました。何かを「切り替え」ようとすると、身体に力が入り、自由が利かなくなり、テンポやリズムに悪影響を及ぼしているのです。今後「切り替え」にポイントを置いてトレーニングをしていく方針としました。

    考えてみれば、音楽は「切り替え」の連続ですね。音符の長さ、音の強さ、拍子も変わり、拍の分割も切り替えなくてはならない。調性も変わり、エスプレッションも変わり、あらゆることを「切り替え」ながら流れて行くのだと改めて知りました。「切り替える力」を付ける事が、音楽を学ぶときに大切だと気付かされました。ダルクローズは「切り替える力」を付けるトレーニングをしていたのですね。

    改めて、納得!! 野口先生、留学生を紹介してくださってありがとうございます!!
    また、ダルクローズの理解が深まりました・・・感謝!





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    たった1回だけ!



    アルツハイマーの父と毎日向き合っている母は、ため息とともに娘の私に今日こんなことが有った、あんなことが有ったと話します。

    コンセントや湯沸かし器のパイロットランプがとても気になる父は、片っぱしからコンセントを抜いてしまったり、今洗い物をしているのに湯沸かし器を消してしまったりしています。その度に湯沸かし器のスイッチを入れ直し、つくと思ったらつかない電気製品のコンセントをさし直し・・・毎日その追っかけっこで過ごしています。

    「パパは病気だからね・・・」と頑張ってくれているのですが、当然愚痴をこぼしたくなる時も有るようで、「昨日も洗い物の時に湯沸かし器消して、今日も・・・1日1回じゃないのよ・・・今洗ってますからってスイッチ入れるとああそうかっていいながらまた消すんだから・・・もう毎日数えられないくらいスイッチ入れてるのよ!」

    そこで、娘からはせめてもの慰めの一言。「スイッチ入れる回数数えるのやめて、パパが消すよりたった一回だけ多くスイッチを入れると思ってみたら?」
    一瞬の後に母。「そんな風に考えられるなんて、ゆんちゃんはいいわね。物の見方が固まってないのね。」
     
    そうです!!ダルクローズのお陰で娘は「切り替える力」がついておりますから、自分が楽になるように見方を変える事ができるようになったのですよ!!
     
    母も大したものです。「そうそう、見方を変えればいいのよね、一回だけ多くすればいいんだから。考えてみればこの年で夫婦そろっていられるだけで感謝しなくちゃね!」
    お母さん、あなたも十分「切り替える力」の持ち主ですね!



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    久しぶりに・・・



    昨年大みそかから痛風の発作で歩くことがままならなかった夫の足の症状が、やっと落ち着いてきました。
    昨日久しぶりに(約1ヶ月ぶりです!!)老犬ケンちゃんと3人?でお散歩に出かけました。1か月間、私一人で朝のお散歩に出ていましたが、ケンちゃんは毎日玄関を覗き、なんで2人なの?と私を見上げながら散歩に出ていました。家族がそろって散歩に出掛けられるというのは、本当に有難いことですね。

    いつの間にか、木々の芽が膨らみ、こんなに寒い中でも着実に春に向かって準備していることに感動しながら、家族そろってのお散歩に感謝して歩きました。

    この楽しいお散歩がいつまでも続けられるように、家族の健康に一層の注意を払わなくてはと考えながら、澄み切った空の下のお散歩でした。




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