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ちょうどそういう年代に差し掛かったらしく、近頃私の周りは「親の介護」の話題でいっぱいです。
大学に行っても、高校でも、お茶のお稽古に行っても、周りには何人か親の介護をしている方がいて、話題はどうしてもそのことに及びます。
我が家も父のアルツハイマーがだいぶ進んでいますから、一緒に話題に加わってお話をします。
その折にいろいろな方から、「なぜそんなに笑っていられるの?」とか「なぜそんなに平常心でいられるの?」とおっしゃられました。初めは私の感じ方が鈍いのだろうとか、我が家の介護の度合いがまだまだ始まったばかりだからと思っていました。そのようにお返事をすると、皆さんがそんなことではなく、平気でいられるのがうらやましいとおっしゃるのです。お一人、お二人ではなくいろいろな方からそのように言われ、何故かしらと考えました。
そこで思い当たったのは、ダルクローズのトレーニングでさんざん受けていた「即時反応」です。名前の通り、音楽を聴きながら即時に判断して反応して行くトレーニングです。どんどん音楽は流れていきますから、失敗してもそれをその場は捨て置き、次の事に相対していかなくてはなりません。失敗にこだわっているとそれ以降の事が全部うまく流れなくなります。
私は昔から演奏本番で失敗する事が多く、小さなミスが出るとそれをきっかけに心が動揺しさらに大きなミスを引き出す癖が有りました。いつの間にか、その癖が少し改善され、年を重ねたせいかと思っていましたが、ダルクローズの「即時反応」も大きく影響しているのではないかと考えるようになりました。失敗してもとりあえずは心から失敗を「捨てる」事で、次の事に改めて平常心で向き合うのです。ダルクローズはただ音感やリズム感をトレーニングするだけでなく大きく心理状態にも作用しています。これが「全人的教育」と言われる所以だと思っていました。
即時反応以外にも、ダルクローズの螺旋状の考え方(物事をあらゆる角度から見て考える)が合わさり、音楽だけでなく親の介護でも楽に過ごせている自分を発見しました。
父が忘れた時に、「さっき言ったのにまた忘れた」のではなく、父が忘れるのは当たり前と思っていれば「当たり前の事が起きた」だけで済みます。否定的な思いは重なると苦しくなりますが、当たり前の事は重なっても平常心でいられます。
親の介護は心が苦しくならないようにしないと、お互いに不幸になってしまいます。
本当にダルクローズに感謝!です。