ヴァイオリンの浅井千裕さんと、ベートーヴェンの10曲のヴァイオリンソナタを毎年1曲ずつ弾いて10年掛かりで全曲演奏しようとDUOコンサートを始めて、10年がたちました。途中千裕さんが交通事故に合われ、足を怪我なさって立って演奏ができない時期があり、3年ほど演奏会を開けない時期がありましたが、今年はやっと6回目を迎え、4月8日日曜に演奏しました。
第1回目はもっとも有名な第5番の通称『スプリング・ソナタ』を演奏し、以降2回目は1番、3回目は短かったので2番・3番とまとめて演奏、4回目4番、5回目6番、そして今回の6回目で第7番を演奏しました。4回目以降は春のこの時期に演奏会を開いていますので、オープニングはいつも「スプリング・ソナタ」の1楽章、テーマ曲になっています。
年を追うごとに、お互いの気心が知れ、合わせのタイミングも以前よりはわかりやすくなり、ずっと継続してアンサンブルを組める相手がいることの嬉しさを味わいます。同時に、お互いに年を重ねて行きますので、気力・体力が以前のようにはいかない部分もあり、また家族も年をとりますから若い時より家族にかかわる時間も増え、なかなか思うように自分の時間を作ることができない事も多くあります。
足りない気力・体力・時間をカバーしながら、2人で何とか支えながらの演奏です。そんな年を重ねて行くところも人間として当然あるべき姿として、演奏に重ねていけたらと思っています。
今回は、前半で「スプリング・ソナタ」ブロッホ「ニーグン」ベートーヴェンソナタ第7番、後半はモーツアルトのロンドやヴィニアフスキーポロネーズ、タイスの瞑想曲等名曲集のような小品を並べたプログラムでした。リハーサルの時のシューベルトの「アヴェ・マリア」では、昨年急な発病で妹さんを亡くされた千裕さんは演奏しながら涙を流され、本番も涙が出ちゃったらどうしようとおっしゃっていました。
演奏する私達もまずは人間、いろいろそれなりに乗り越えながらの演奏だから自然なありのままの姿・心を見て頂いて良いのではないかしらと二人で話しました。
アンコールでは昨年アンコールで演奏したピノキオの「星に願いを」を今年も演奏しました。あの大震災の全てが津波のみ込まれる映像が目に浮かび、この一年の事が走馬灯のように思いだされ、今年のコンサートも何とか弾き通すことができたという安堵感も手伝って、楽譜が涙で揺らいで見えました。
来年は8番、どんな曲を合わせようかと、二人で楽しみが始まりました。
皆様に楽しんで頂けるような曲選びができると良いのですが・・・
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